「なんじゃもんじゃ」というユニークな名前で呼ばれるのは「ヒトツバタゴ」の木。
天然記念物にも指定され、絶滅が危惧されるほど個体数が減少している貴重な植物です。
日本では愛知県犬山市、対馬列島、岐阜と長野の県境など極限られた地域に自生している珍しい木なのですが、この写真は都市間での贈呈を受け街路樹としてヒトツバタゴの並木道をつくっている九州で撮影したものです。
開花の5月には、背の高い木に4枚の花びらを持つ白い小さな花が集まって一斉に咲き、遠目にはまるで白い雪をかぶったような風景になります。
この開花期間がかなり短く5月上旬の温かい日にパッと咲き、強風や雨でサッと散ってしまうので、満開のタイミングはかなり貴重。新緑だった並木道がある日突然、雪化粧、すぐにハラハラと散り、そして1~2週間で何もなかったかのようにまた緑の並木道に戻っている感じです。桜同様、散りゆく花の儚さに美学を感じる方も多いのではないでしょうか。
モクセイ科ヒトツバタゴ属でトリネコに似ていること、トリネコはタゴと呼ばれることから、一つの葉をもつタゴ=ヒトツバタゴと命名されたのだとか。
また別名の「ナンジャモンジャ」は色々と逸話があるようですが、要は「何という名前の木かわからない木」を「なんじゃもんじゃ」と呼んだことが由来のようです。
名前のユニークさで有名な植物ではありますが、その開花の様子は実に可憐で美しい風景です。