2025年1月から本格的に始めたハチク竹林の年間管理について、1月に実施した施工内容と一年間のスケジュールをまとめました。竹林管理は地形や環境などの条件を踏まえたうえで検討する必要があるため、今後の管理・活用をお考えの方の参考になれば幸いです。
1月の施工
車両侵入路の整備
ハチク竹林にお伺いして作業を進めました。既存の道を手入れし、軽トラック等が進入できるようにしました。侵入路の整備は約3分の1程度が完了し、中間あたりまで車両が進入可能となりだいぶ竹の管理が効率よく行えそうです。
ビフォー
アフター
残置処理しやすい平地から優先整備
ビフォー
アフター
道路際の竹を先に伐採すると処分場所の確保が難しいため、まず平地部分を整備し、竹を安全に集積できる環境を整えました。この時期のツル切りも大変大事で、フジなどが絡みついた竹は伐採時に支障になる為事前にツル切りを行い枯らしていきます。
敷地内のゴミ回収
竹林に散乱していたゴミも少しずつ回収・処分。ゴミのない環境をつくることで、今後の不法投棄防止にもつなげます。
伐採竹の活用検討
伐採した竹の一部は、垣根の横支柱や造園資材などの資材転用可能性を探っています。利用価値が見込めれば、今後は竹を買取させていただき、より循環型の管理を目指しております。
淡竹は中国原産の竹で、黄河流域以南を中心に分布しており、日本を含む東アジアや東南アジア、さらには南北アメリカ東部の一部地域まで広く見られます。稈(かん)の節が二輪状である点が特徴で、モウソウチクの節が一輪状であることと対照的です。
日本では西日本に多く分布し、全国に広がっているものの、竹林全体の面積ではモウソウチク・マダケが多数を占めるため、ハチクの林は比較的少ない割合となっています。
日本における竹利用の歴史は非常に古く、縄文遺跡から竹編みの籠が出土しているほどです。淡竹自体は中国原産ですが、奈良時代にはすでに日本に定着していた形跡があり、食用のタケノコから日用品・工芸品まで様々に活用されてきました。
稈が割れやすく、しなやかな性質をもつことから、茶筅や提灯の骨、竹細工全般に利用されてきました。美しく均質な見た目と強度の高さが評価され、伝統工芸の材料として重宝されています。
稈の内皮(竹筎・竹茹)や葉(竹葉)などは生薬として利用されることがあり、竹林自体はCO₂吸収や土壌保全、生物多様性維持にも寄与します。成長が早いため温暖化対策にも効果が期待されており、昨今ますます注目される資源となっています。
こうした竹林の可能性を模索しながらこれからも色々な竹林に関わらさせていただけたらと思います。
平地整備を進めることで、次回の道路沿い竹林整備で出る竹を効率よく集積・処理できるようになります。今後も周囲の安全や景観に配慮しながら、竹林整備を着実に進めてまいります。
年間管理スケジュール概要
1月
道路沿いの竹林整備開始
倒伏リスクや視界不良を防ぎ、近隣住民の安全を確保するため、最も影響が大きい道路側から優先的に整備を開始します。
枯れ竹の残置処理
枯れ竹を集積し、チップ化など再利用の可能性を検討します。
車両搬入路の整備
敷地内に安全にトラックなどを進入させ、今後の作業をスムーズに進めるための進入路を整備します。
2月
竹の皆伐作業継続
地下茎を弱らせ、将来的な竹の再生力を大きく抑制するため、竹の本数を大幅に減らす皆伐を継続します。
3月~5月
筍(タケノコ)対策
この時期は筍が出やすいため、地表近くで折り取ったり根元を掘り起こして再生を阻止。
落ち葉かき・林床管理
筍の発見や作業効率を高めるために落ち葉を除去し、林床を整備します。
有用竹林の整備・活用検討
筍は必要に応じて保育園などで活用し、竹も竹馬や垣根の材料として活かせる可能性を探ります。
6月
道路沿いの草刈り(第1回目)
竹伐採後に日当たりが良くなったエリアで草が急速に伸びる場合を想定し、安全確保と景観維持のため草刈りを行います。
下草は生態系維持に役立つ面もあるため、選択的な刈り込みを検討します。
7月
竹林整備継続・枯れ竹再利用検討
伐採しきれなかった竹を引き続き整理し、枯れ竹のチップ化など再利用を検討します。
不要な樹木の選択的伐採
土留めや竹の再生抑制のため、外来種や成長が早い樹木を中心に伐採します。
8月
道路沿いの草刈り(第2回目)
夏場の草の伸びに合わせ、選択的に草刈りを実施します。
枝打ち作業
通行を妨げる低木や中木の枝を優先的に整備し、安全や景観を確保します。
9月~10月
竹の皆伐推進・枯れ竹集積
マムシなど安全面に注意しつつ、竹を皆伐することで地下茎を弱らせ、再生を抑制します。
作業範囲の計画
敷地全体を一度に整備するのは難しいため、影響の大きいエリアから優先的に手を入れます。
11月~12月
竹林整備の総仕上げと次年度準備
伐採漏れの竹を整理し、枯れ竹の集積・処理を行います。
作業成果の評価と次年度計画策定
一年目の成果を評価して問題点を洗い出し、次年度の具体的な作業計画を立てます。
敷地内の清掃・安全対策
作業道や通路の点検・整備、落ち葉や伐採残の処理を行い、美観と安全を両立します。
今後の展望
ハチク竹は成長が早く、地下茎の拡大が強力なため、定期的かつ計画的な皆伐と筍対策が不可欠です。また、伐採した竹や筍の一部を地域資源として活用することで、自然と人の共生を目指します。環境保全と持続可能な資源利用を両立させるため、丁寧な施工と長期的な視点での管理を大切にしていきます。