三重県菰野町でのフクロウ巣箱設置事例:フクロウの新たな営巣環境を
- 三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空
- 3月20日
- 読了時間: 5分
近年、森林の減少や環境変化により、野鳥やフクロウたちの営巣場所が減少しています。特に樹洞を利用して子育てをするフクロウにとって、適切な大木の減少は生存に関わる深刻な問題です。
そこで今回は、三重県菰野町でお庭手入れさせていただいているお庭で、フクロウたちの新たな住まいづくりに取り組みました。

フクロウは秋から冬にかけて営巣場所を探し始め、春先に卵を産み、子育てを行います。本来であれば10月から1月ごろに巣箱を設置するのが理想的です。これは、フクロウたちが落ち着いて環境を確認できる時間を確保するためです。
今回の設置は3月となり、今シーズンの営巣にはやや遅いタイミングですが、これは次の繁殖期に向けた準備と考えています。フクロウたちが時間をかけて新しい住まいに慣れ、来シーズンには安心して子育てができる環境を整えることが今回の目的です。


巣箱の設置場所として選んだのは、モクレンです。このモクレンになるべくダメージを与えないように巣箱を取り付けました。
一般的な金属製の釘やボルトではなく、モクレンの木から作成した木釘を使おうと当初計画しておりましたがシュロ縄だけでも固定はできたので観察しながら様子をみさせていただこうと思います。
巣箱は地上から約4m30cmの高さに設置し、カラスやテンなどの捕食者から身を守れるよう、周囲の環境にも細心の注意を払いました。

3月初旬にはフワフワとした銀色の毛でおおわれたつぼみがつき、暖かくなるにつれて美しい大きな白い花をつけてくれます。
モクレンというと一般的には紫色をした「紫木蓮(シモクレン)」を指すことが多いですが、白い花をつける樹木は「白木蓮(ハクモクレン)」として区別されているようです。
モクレン科モクレン属、原産地は中国で日本での流通名にはハクレン、ハクレンゲもあります。学名はMagnolia denudata、見た目も似ている白い花「コブシ」や「タイサンボク」も含めたモクレン(マグノリア)科の総称でもある「マグノリア」と呼ばれることも。
咲き始めは細長いたまごのようなスタイルから、徐々にふっくらと開く花姿。蓮の花に似ていることから樹木に咲く蓮=「木蓮」、空に向かって上向きに咲く様子からは「天国に咲く蓮の花」とも表現されます。
蓮の花は仏教に関わりが深いため、中国では寺院などにモクレンの木を植える風習もあるそうですが、日本でも街路樹や公園、庭木として好まれる植物なので、3月~4月頃には、遠くからでも大きな白い花が目に留まることもあるかと思います。
樹高10m以上にもなる大きな木なので、地植えで風通しのよい陽の当たる場所を好み、基本的には暑さ寒さに強く、土の状態も特別に配慮がいらないので根付いてしまえばあまり心配なく育つ性質。
花言葉には「荘厳」「気高さ」「高潔」「慈悲」など。天に向かって咲く蓮の花のような神聖さと神秘性も感じられる花姿にはぴったりの言葉ですね。
見上げるような高い枝先に清々しく咲く白い花は、春の代表花である桜ともまた違った力強い魅力があるように感じます。
フクロウ用巣箱 設置情報
巣箱基本情報
巣箱ID/名称: 木蓮庵
製作日: 2025年3月5日(水)
材質: 下地は合板(コンパネ)、外装は廃材
装飾: 屋根に杉皮、入口と横開閉部取手に杉丸太、外装に柿渋塗装
誘致対象鳥種: ウラルフクロウ
入口直径: 19cm
巣箱サイズ
外寸: 縦74cm × 横40cm × 奥行40cm
内寸: 記載なし
設置情報
設置日: 2025年3月20日(木)春分の日
地域: 三重郡菰野町
気象条件: 晴れ、気温20.5℃、湿度26℃
環境タイプ: 山林近くの住宅(道路あり)
設置樹種: モクレン
設置高さ: 地面から入口下まで約4m30cm
向き: 北北西
周辺の主な植生: ツバキ、クリ、しだれ梅、ケヤキ、コナラ、モミジ、サクラ、アセビ他
巣箱の設計には、フクロウの生態を考慮して制作しました。
床面積:40cm × 40cm 以上の広さを確保
高さ:70cm 程度で上下の空間を十分に
入り口:直径19cmのフクロウが出入りしやすいサイズ
入り口の高さ:床面から約35cmで安全性を確保
巣箱の向き:東~南向きで風雨の影響を最小限に 今回は施主様のご意向で窓から見える向きにしています。
内装:木くず、チップ、乾燥した苔で自然に近い柔らかな環境を再現(今回はカブトムシ用のマットを施主様用意してくれて使用)
発見例が少ない種のコガネがフクロウのペリットやふんなど有機物を食べて住処にするそうです。
外装には杉材を使用し、耐久性を高めるために柿しぶコートGで仕上げました。化学物質を含まない自然由来の塗料を選ぶことで、フクロウが安心して利用できるよう配慮しています。

また、側面には開閉扉を設け、繁殖期後のメンテナンスを容易にしました。フクロウたちの子育てが終わった後に清掃することで、翌年も清潔な環境を提供できます。
この巣箱がフクロウたちにどのように受け入れられるかを見守りながら、私たちは巣箱の制作や設置方法に活かしたいと考えています。
フクロウが巣箱に興味を示す様子
他の動物による干渉の有無
季節の移ろいによる巣箱の状態変化
内部環境の維持状況
観察記録は継続し、より良い巣箱づくりに活かしていく予定です。自然との対話は一方通行ではなく、常に学び、改善していく過程だと考えています。

フクロウの営巣は、単に一種の鳥を守るだけではありません。彼らは森の生態系のバランスを保つ重要な役割を担っています。小型哺乳類を捕食することで農作物の被害を減らしたり、その存在自体が森の健全さを示す生きた指標となります。
私たち剪定屋空では、日々の剪定作業や伐採で生まれる木材を大切にし、木鳥商店を通じてフクロウの巣箱など「自然素材のプロダクト」を展開しています。

フクロウの巣箱設置や自然環境保全に関心をお持ちの方は、ぜひ剪定屋空までご連絡ください。一本の木を守ることが、一羽のフクロウを守り、やがて森全体を守ることやお庭を守ることにつながると信じています。

木鳥商店オンラインショップ https://kotorino.theshop.jp
剪定屋空 公式サイト https://www.senteiyasora.com
これからも、夜の森の守り手たちが安心して暮らせる環境づくりに、心を込めて取り組んでまいります。