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執筆者の写真三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空

土壌生物多様性-植物の成長を促進し土壌を豊かにする発酵土

前回、烏骨鶏の小屋に発酵床: 作り方と最適化のガイドという記事を書いて見てくれた方もいたので、今回は発酵土作りで追加した資材なども合わせて土壌微生物の多様性がどれだけ大切かをまとめてみました。


発酵土とは?


土壌生物多様性-植物の成長を促進し土壌を豊かにする発酵土


発酵土は、有機物を微生物によって分解・発酵させて作られる土で豊富な栄養素と多様な微生物を含み、植物の成長を促進し、土壌を豊かにする効果があります。発酵(堆肥化)過程において微生物により分解を受ける主な有機成分は、脂質、炭水化物および低分子の窒素化合物です。


発酵土で栽培された植物は、非発酵土で栽培された植物よりも成長が促進されることが研究で示されています。発酵土は、植物が利用しやすい栄養素を豊富に含んでいるため、植物の成長を促進する効果があるとされています。


主な効果に


植物の成長を促進する

土壌の団粒構造を改善する

土壌の通気性と排水性を向上させる

土壌の保水性を向上させる

有益な微生物を増やす

病原菌の繁殖を抑制する


などがあげられます。


私達が普段発酵土を作る場所は烏骨鶏を飼育している小屋内で発酵させて、土が多くなって来たら土壌改良材としお客様のお庭で活用させてもらっています。


前から入れているもの


炭、飼料用ゼオライト、3腐葉土、4勲炭 5油かす6落ち葉などの有機物   - 発酵促進剤やEM(有効微生物)液 (あまりにも発酵が進まない場合に適量)


その後追加したもの


竹炭


土壌の通気性と排水性を向上させる

保水性を向上させる

微生物の住処となる


蟹がらペレット


カルシウム、リン酸、キチン質などを含む

植物の成長を促進する

土壌の団粒構造を改善する


竹チップ


土壌の通気性と排水性を向上させる

保水性を向上させる

微生物の住処となる


杉チップ


土壌の酸性度を調整する

通気性と排水性を向上させる

保水性を向上させる


ぼかしペレット


豊富な栄養素を含む

発酵を促進する

有益な微生物を増やす


米糠


豊富な栄養素を含む

発酵を促進する

有益な微生物を増やす


などでさらに発酵を促進していきます。




サーモグラフィーで温度を計測すると掘り起こした箇所は50度近くの温度になっていました。




発酵に必要な条件は


温度: 発酵を効率的に進行させるためには、適切な温度条件が必要です。温度が高すぎると微生物が死滅し、低すぎると発酵速度が遅くなります。


水分: 発酵プロセスには適切な水分が必要です。水分が不足すると発酵が進行しにくく、過剰だと嫌気条件が発生しやすくなります。


酸素: 好気的発酵では、適切な酸素供給が重要です。嫌気的発酵では酸素を遮断します。


冬場はあまり発酵がうまくいかない場合がありますが適度に水を混ぜて攪拌することで発酵が促進されます。


発酵土の作り方


1. 材料を混ぜる


発酵させる材料を混ぜ合わせます。材料の種類や配合は、好みに合わせて調整できます。


2. 水分を加える


材料全体が湿る程度に水分を加えます。水分量が多すぎると、嫌気発酵になり、悪臭が発生する可能性があります。なかなか水分量が難しく、烏骨鶏はあまり湿気を好まないので少しずつ水分を追加しています。


3. 発酵させる


発酵期間は、材料や温度によって異なりますが、数週間から数ヶ月程度かかります。



発酵プロセス中に発生する熱は、微生物の活動度に応じて変化し、適切な温度範囲を維持することが大事です。一般的に、ほとんどの発酵プロセスにおいて、温度は約25℃から40℃の範囲が適しているとされます。この温度範囲内では、多くの微生物が活発に活動し、有機物の分解と変換を効率的に行うことができます。


好気性発酵:比較的低い温度(20℃~30℃程度)で進行します。

嫌気性発酵:比較的高い温度(40℃~50℃程度)で進行します。


土壌生物多様性の重要性


土壌生物多様性


土壌は、一見すると変わりないように見えますが、実は目に見えない微生物たちが活発に活動する生命力あふれる世界です。


これらの微生物は数千種類以上存在し、それぞれが独特な能力を持ち、土壌の健康維持に重要な役割を果たしています。


土壌生物は、以下のような様々な役割を担い、私たちの生活を支えています。


栄養循環: 土壌生物は、植物が利用できない有機物を分解し、栄養素を循環させます。これは、植物の成長と健全な生態系にとって不可欠です。


土壌肥沃度の維持: 土壌生物は、有機物を分解して土壌に栄養素を供給し、土壌の肥沃度を維持します。


炭素固定: 土壌生物は、大気中の二酸化炭素を土壌に固定し、地球温暖化の抑制に貢献します。


水質保全: 土壌生物は、土壌の通気性や水保持能力を改善し、水質の保全に貢献します。


病害虫抑制: 土壌生物は、病原菌や害虫を抑制し、植物の健康を守ります。


土壌生物多様性を脅かすもの


近年、農業の集約化、森林破壊、気候変動などの影響により、土壌生物多様性が減少しています。これは、土壌の肥沃度低下、水質汚染、地球温暖化など、様々な問題を引き起こす可能性があります。


土壌生物多様性を守るために


土壌生物多様性を守るためには、以下のような取り組みが必要です。


有機農業への転換: 化学肥料や農薬の使用を減らし、有機農業を実践することで、土壌生物に悪影響を与えずに農作物を生産することができます。


森林保護: 森林は、土壌生物多様性の宝庫です。森林を保護することで、土壌生物の生息地を守ることができます。


土壌管理の改善: 土壌の耕耘や灌漑方法を改善することで、土壌生物の活動を促進することができます。



有機物分解の担い手 糸状菌、放線菌、細菌


土壌中の有機物は、植物や動物の遺骸などです。これらの有機物は、微生物によって分解され、植物が利用できる栄養素に変換されます。


糸状菌:カビの一種で、土壌中に10万種類以上存在します。有機物を分解する能力が非常に高く、堆肥発酵の初期段階で活躍します。ただし、芝生の病原菌となる種類も存在するため、注意が必要です。


放線菌:2000種類以上存在し、抗生物質を放出して他の菌を抑制し、土壌中の菌のバランスを保ちます。また、糸状菌が分解できなかった複雑な有機物も分解することができます。


細菌:種類は膨大で、DNA分類では100万種を超えると推定されています。有機物の分解を最終的に完了させ、植物が吸収できる無機栄養素に変換します。



土壌生物多様性は、栄養循環、土壌有機物の分解、炭素固定、水質と土壌汚染物質の濾過と分解、さらには植物の成長促進など、数多くの生態系サービスと機能に不可欠です。



4.発酵の確認


発酵が完了すると、土の温度が下がり、色が茶色くなります。また、土の香りが良くなり、フカフカした状態になります。


発酵は、微生物の働きによって有機物が分解される過程です。発酵が進むにつれて、温度変化が起こり、それに伴い様々な種類の微生物が段階的に出現します。

  • 初期段階:温度が上昇し、熱に強い糸状菌が活躍します。

  • 中期段階:放線菌が増殖し、糸状菌を抑制し、抗生物質によって菌のバランスを保ちます。

  • 後期段階:温度が下がり、細菌が増殖し、有機物を最終的に分解します。


発酵の過程で様々な種類の微生物が関与し、有機物を効率的に分解し、栄養素を豊富に含んだを土を作り上げます。


発酵土の効果や栄養素


植物の成長を促進する

土壌の団粒構造を改善する

土壌の通気性と排水性を向上させる

土壌の保水性を向上させる

有益な微生物を増やす

病原菌の繁殖を抑制する 


病害発生抑制:多様な微生物が共存することで、病原菌の異常増殖を抑えます。

悪臭抑制:腐敗菌の増殖を抑え、悪臭の発生を抑制します。

土壌改良効果:リグニンなどの高分子を分解し、腐植を増加させ、土壌の団粒構造を改善します。


発酵過程で有機資材を分解し、有機酸やアミノ酸などの中間代謝産物を生成します。これにより、土壌の肥沃度と土壌に発酵土を混ぜることにより植物の成長が促進されます。


有機酸とアミノ酸: 発酵によって生成されるこれらの物質は、土壌中の栄養素の可溶化を助け、植物の栄養吸収を改善します。


土壌有機物 (SOM): 発酵プロセスによって増加したSOMは、土壌の保水能力を向上させ、微生物活動のためのエネルギー源を提供します。


窒素 (N)、リン (P)、カリウム (K): 有機資材の発酵により、これらの栄養素が植物に利用しやすい形で土壌中に放出されます。


植物の免疫システムを強化する


土壌微生物は、植物の免疫システムを活性化し、病原菌や害虫に対する抵抗力を高めることができます。


土壌微生物は、植物の成長を促進する栄養素を供給したり、植物の根から水分や栄養素を吸収するのを助けたりします。


栄養素の供給: 土壌微生物は、植物が利用できない有機物を分解し、窒素やリンなどの栄養素を植物が吸収しやすい形に変換します。


根の発達促進: 土壌微生物は、植物の根の成長を促進し、より多くの水分や栄養素を吸収できるようにします。


ホルモンの調整: 土壌微生物は、植物の成長を促進するホルモンを生成したり、植物のホルモンバランスを調整したりします。


害虫から植物を守る


害虫の直接攻撃: 土壌微生物は、害虫に感染症を引き起こしたり、害虫の幼虫を殺したりします。

天敵の増加: 土壌微生物は、害虫の天敵である昆虫や線虫の数を増加させます。

忌避効果: 土壌微生物は、害虫が嫌がる臭いを発生させ、植物から遠ざけます。


土壌微生物(例えば、根圏細菌や根菌)は、植物の成長を促進し、昆虫草食動物に対する広範囲の抵抗性を与えることができます。


土壌の健康を維持する


土壌微生物は、有機物を分解して土壌の肥沃度を高め、土壌の団粒構造を改善します。まるで、土壌の健康を守る医者のような存在です。


有機物の分解: 土壌微生物は、植物や動物の遺骸を分解し、土壌に栄養素を供給します。


団粒構造の改善: 土壌微生物は、土壌の粒子を団粒状にまとめ、土壌の通気性や排水性を改善します。


水質改善: 土壌微生物は、土壌中の汚染物質を分解し、水質を改善します。


このように、土壌微生物は植物の健康を守るだけでなく、土壌の健康維持にも重要な役割を果たしています。



発酵土は、嫌気発酵と好気発酵により、土壌に豊富な栄養素と多様な微生物を供給し、植物の成長を促進し土壌を豊かにしてくれます。


発酵土の中に手を入れると、とても優しい温かさを感じられます。


ぜひ試してみてください。



参考文献


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