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執筆者の写真三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空

庭の土中環境を整える土壌改良材のまとめ

  PDFにもまとめて見たのでご自由にお使いください。



1日お庭にお伺いさせていただき施肥を行わせていただきました。1日集中して樹木の状態を確認しながら施肥できるのは有り難いです。






土壌改良資材の種類



土壌改良資材の種類


土壌改良資材は、大きく分けて有機資材、無機資材、微生物資材、活性剤の4つの種類に分類できます。


1. 有機資材


有機資材は、植物や動物由来のものを原料とした資材です。土壌中の微生物の活動を活発化させ、土壌構造を改善する効果があります 。植物の生育に必要な養分を供給するだけでなく、土壌の保水性、排水性、通気性を向上させることで、植物が健全に生育できる環境を作ります。  


主な有機資材


  • 堆肥: 植物や動物の残渣を分解して作られた肥料です。土壌の保水性、排水性、通気性を向上させ、微生物の活動を活発化させます 。養分供給効果は家畜ふん堆肥の種類によって異なり、牛ふん堆肥<豚ぷん堆肥<鶏ふんの順に高い 。完熟堆肥を使用することが大切です。

    • 商品例:バイテクバイオエース(R) 3,430円/15kg

     

  • バーク堆肥: 樹皮を分解して作られた肥料です。土壌の保水性、排水性を向上させ、土壌構造を改善します 。

    • 商品例:こばやしバーク堆肥 598円/20L

     

  • 魚粉: 魚を乾燥させて粉末にした肥料です。窒素、リン酸、カリウムを豊富に含み、植物の生育を促進します。

    • 商品例:あかぎ園芸 魚粉 579円/1kg

  • 骨粉: 動物の骨を粉末にした肥料です。リン酸を豊富に含み、根の発育を促進します 。

    • 商品例:東商 粒骨粉 835円/1kg

     

  • 腐葉土: 落葉や落ち葉を分解して作られた肥料です。土壌の保水性、排水性、通気性を向上させます。

    • 商品例:あかぎ園芸 腐葉土 153円/1.2L~

  • 緑肥: 緑色の植物をそのまま土に埋め込む肥料です。土壌に窒素を供給し、土壌構造を改善します。

    • 商品例:タキイ種苗 ネグサレタイジ 1,890円/1kg

  • 油粕: 菜種や大豆などから油を搾った残渣を肥料としたものです。窒素、リン酸、カリウムを豊富に含み、植物の生育を促進します 。

    • 商品例:肥料用 菜種油粕 1,980円/5kg

     

  • もみ殻堆肥: もみ殻を発酵させて作られた肥料です。土壌の保水性、排水性を向上させ、土壌構造を改善します 。

    • 商品例:朝日工業 もみがら堆肥 698円/20L

     

  • カナディアンフミン: カナディアンロッキー産の腐植物質を多く含む資材です。土壌を団粒化し、保水性、排水性、保肥力を高め、根の伸長、開花・結実を促進します 。

    • 商品例:地力の素 カナディアンフミン 1,980円/1kg

     

  • 泥炭(ピートモス): 湿地帯に堆積した植物の残渣が炭化した有機物です。土壌の膨軟化や保水性の改善、保肥力向上効果があります 。

    • 商品例:プロトリーフ ピートモス 498円/18L

     

2. 無機資材

無機資材は、土壌の物理性を改善する効果があります。有機資材のように微生物の活動による土壌構造の改善効果は期待できませんが、土壌の保水性、排水性、通気性を調整することで、植物の生育を助けます。


主な無機資材


  • 珪砂: 主に石英からなる砂です。排水性を向上させ、土壌の通気性を良くします。

    • 商品例:珪砂 7号 1,100円/25kg

  • バーミキュライト: ひる石を高温で処理して作られた資材です。土壌の通気性、排水性を向上させます 。

    • 商品例:あかぎ園芸 バーミキュライト 438円/2L

     

  • パーライト: 真珠岩を高温で処理して作られた資材です。土壌の通気性、排水性を向上させます 。

    • 商品例:あかぎ園芸 パーライト 398円/2L

     

  • ゼオライト: 火山岩が変質してできた鉱物です。保水性、保肥力を向上させ、有害物質を吸着します。

    • 商品例:天然ゼオライト 1,980円/10kg

  • 腐植酸質資材: 植物などが分解されてできた物質を含む資材です。保肥力を向上させ、土壌構造を改善します 。

    • 商品例:腐植力 4,180円/20kg

     

  • ペーパースラッジ灰(PS灰): 製紙工程で発生する汚泥を焼却処理した灰です。土壌の保水性を向上させます 。  


3. 微生物資材

微生物資材は、土壌中の微生物の働きを活性化させる資材です。植物の生育を促進したり、病害を抑制したりする効果があります 。土壌中の微生物のバランスを整え、植物にとってより良い環境を作ることで、植物の生育を助けます。  


主な微生物資材


  • 菌根菌: 植物の根に共生する菌です。植物の養分吸収を助けます。

    • 商品例:Drキンコン 13,178円/1kg

  • 窒素固定菌: 空気中の窒素を固定する菌です。土壌に窒素を供給します。

    • 商品例:EM1号 2,750円/1L

  • 放線菌: 土壌中の有機物を分解する菌です。土壌の病害を抑制します 。

    • 商品例:菌力アップ 13,200円/2L

     

  • 光合成細菌: 光合成を行う細菌です。土壌中の有機物を分解します。

    • 商品例:菌の黒汁 2,528円/500ml


4. 活性剤

活性剤は、土壌や植物の生理活性を高める資材です。植物の生育を促進したり、ストレス耐性を高めたりする効果があります。植物の生育を助けるだけでなく、環境ストレスに対する抵抗力を高めることで、植物が健全に生育できるようサポートします。


主な活性剤


  • フミン酸: 土壌中の有機物を分解して作られる物質です。植物の生育を促進し、ストレス耐性を高めます。

    • 商品例:バイオゴールドバイタル 1,650円/100ml

  • アミノ酸: タンパク質を構成する物質です。植物の生育を促進します。

    • 商品例:アミノール化学研究所 液体肥料アミノメリット青 1,280円/500ml

  • 海藻エキス: 海藻から抽出されたエキスです。植物の生育を促進し、ストレス耐性を高めます。

    • 商品例:メネデール 825円/2L


土壌改良資材の選び方


土壌改良資材の選び方


土壌改良資材は、庭の土壌の状態や植物の種類に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。


  • 土壌のpH: 土壌のpHは、植物の生育に大きな影響を与えます 。酸性土壌では、アルカリ性の資材である石灰などを用いて中和します。一方、アルカリ性土壌では、酸性の資材であるピートモスなどを用いてpHを調整します。  

  • 土壌の排水性: 排水性が悪い土壌では、植物の根腐れが起こりやすくなります。排水性を向上させるためには、バーミキュライトやパーライトなどの無機資材を土に混ぜ込みます。

  • 植物の種類: 植物の種類によって、生育に適した土壌環境が異なります。


土壌構造について



土壌構造は、植物の生育に大きな影響を与えます。土壌構造が良い土壌は、団粒構造と呼ばれる、小さな土の粒が集まってできた構造をしています。団粒構造は、土壌中に適度な隙間を作り、水はけと通気性を良くします 。また、保水性や保肥力も高くなります。  


土壌構造を改善するためには、有機資材を施用することが有効です。有機資材は、土壌中の微生物の活動を活発化させ、団粒構造の形成を促進します。


リジェネラティブ(再生型)の考え方を取り入れた、月ごとの施肥


リジェネラティブ(再生型)の考え方とは、土壌生態系や地域資源を活用しながら、有機的で循環型の施肥を行うことです。化学肥料に過度に依存せず、土壌の健康を長期的に維持・向上させることを目指します。


以下は、月ごとの施肥のポイントです。地域・土壌条件・植栽の種類によって最適な方法は異なりますので、あくまで目安としてご覧いただき、実際の状況に応じて微調整いただくのがおすすめです。


1~2月:寒肥と土壌作りのための基盤づくり

          

  • 寒肥の目的: ゆっくり効く有機肥料を冬のうちに施して、根が活動を始める春に合わせて土壌内で微生物が分解できるようにする。


  • 使用する肥料の例

    • 堆肥:落ち葉堆肥、バーク堆肥、牛ふん堆肥など 。  

    • 油かす・骨粉入り有機質肥料

    • 発酵鶏ふん


  • ポイント

    • 土を深く耕しすぎない(微生物層を壊さない)

    • 霜柱・寒気を利用して土中の病害虫を減らす

    • 落ち葉や剪定枝はできるだけ堆肥化して循環させる


3~4月:春の芽出し期と微生物活性化に合わせた施肥


  • 目的: 気温上昇とともに土壌中の微生物が活発になる時期。冬に施した肥料(寒肥)の分解が本格化します。


  • 使用する肥料の例

    • 完熟堆肥+土壌改良資材:ピートモス、もみ殻くん炭、バイオチャーなど 。  

    • 米ぬかや魚かす肥料

    • 骨粉や草木灰

  • ポイント

    • マルチングを併用

    • 元肥の入れすぎに注意


5~6月:初夏の施肥と土壌環境の安定化


  • 目的: 植物が生長期に入るため、養分需要が高まる時期。同時に梅雨に向けて高温多湿になり、病気や害虫が増えやすくなります。


  • 使用する肥料の例


    • 追肥としての液肥(有機液肥):魚かすや大豆かすを原料としたものなど。

    • 速効性の有機肥料:油かすの発酵液など。

    • バークチップなどのマルチ材

  • ポイント

    • 病害虫対策とセットで考える

    • 長雨への備え


7~8月:夏越しと有機物の循環


  • 目的: 高温期は微生物の働きが一時的に落ちる場合もありますが、有機物の分解が進みやすくなる面もあります。


  • 使用する肥料の例


    • お礼肥(果樹・花木):花や果実を収穫した後の「お礼肥」に、有機肥料を少量与えて樹の回復を促します。

    • グリーンマニュア(緑肥作物)のすき込み

    • 腐葉土や竹パウダーの補給

  • ポイント

    • 地表の温度上昇対策

    • 過度の施肥を控える


9~10月:秋の施肥と来期の準備


  • 目的: 夏の疲れを回復させ、秋の生育・開花に向けて栄養を蓄えます。


  • 使用する肥料の例


    • 堆肥または落ち葉堆肥の投入

    • リン酸・カリウムを意識した有機肥料:骨粉、草木灰など。

    • 緩効性の有機質肥料

  • ポイント

    • 落ち葉の利用

    • 株分け・移植時の元肥


11~12月:冬への移行期と土壌保護


  • 目的: 落葉が進み、庭の景観が落ち着く時期。土壌や生きものが冬支度を進めるため、有機物を適度に残しておくことが大切です。

  • 使用する肥料の例

    • 少量の寒肥的施肥

    • 落ち葉マルチ

    • 緑肥の残渣処理

  • ポイント

    • 冬剪定を兼ねた枝葉の循環利用

    • 土壌が凍結する地域では無理に耕さない


肥料設計における全体的な考え方


  • 土壌分析や土壌診断を定期的に: 土壌のpH、EC、窒素・リン酸・カリウムなどの含有量を把握してから施肥すると、過剰や不足を防げます。

  • 有機物の循環を最大化: 剪定枝、落ち葉、草、竹などの地域資源を積極的に堆肥化やマルチングに利用 。可能な限り外部から持ち込む化学肥料を削減し、自給的な循環を目指します。  

  • 土壌微生物への配慮: 過度な耕起や殺菌的農薬・除草剤の多用は土壌生態系を壊し、土壌力が低下します 。微生物が十分に働ける環境づくりが、リジェネラティブな土壌管理の要です。  

  • 段階的かつ小まめな施肥: 一度に大量の肥料を入れるより、少量を複数回に分けるほうが、土壌への負荷を分散でき、効果も安定します。

  • 作物や庭木の生育段階を見極める: 新芽や開花前、実の肥大期など、それぞれ必要な養分が異なります。観察を続けながら柔軟に調整しましょう。


まとめ


土壌改良資材を適切に使用することで、庭の土壌を改善し、植物を健全に育てることができます。それぞれの資材の特徴を理解し、土壌の状態や植物の種類に合わせて適切な資材を選び、使用方法や注意事項を守って使用しましょう。


リジェネラティブな考えに基づいた施肥を行うことで、土壌の健康を長期的に維持・向上させ、持続可能な庭づくりを目指しましょう!


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