三重県四日市にあるYOKKAICHI HARBOR 尾上別荘様の庭園を、令和6年5月から令和7年1月まで定期的に管理させていただいた様子をまとめてご紹介いたします。
約7ヶ月間にわたり四季折々の姿を見せるお庭と向き合うことで、植物の健康状態や景観の美しさを保つとともに、お客様やスタッフの皆様にとって心地よい空間作りに努めてまいりました。その取り組みの内容と変化を、季節の移ろいに合わせて振り返ってみたいと思います。
1. 春から初夏へ(令和6年5月)
玄関前のクマザサの間引きと樹木剪定

作業開始当初は、園路のクマザサが込み合い、庭園全体に落ち葉がかなり堆積しており溜まりやすい状況でした。そこで最初のステップとして玄関前の孤立スペースを中心にクマザサをある程度間引きながら、併せて樹木に絡むツタを撤去しました。枝葉や落ち葉の処分を行いながらまずは庭木の手入れの前に清掃を徹底的に行わせていただきました。




消毒剤散布による害虫対策
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
5月後半にはお庭全体の手取り除草を徹底し、併せて樹木の枯れ枝の撤去と軽剪定を行い、害虫対策として消毒を実施しました。風通しが悪くなってしまった混み合った樹木はかなりの確率でスス病が蔓延しておりました。

ビフォー

アフター

風通しを良くするために枝をすっきりさせ、葉が日を浴びることで樹木が元気になるよう配慮しています。ただ弱った樹木には強剪定は好ましくなく状態を確認しながら施工を行っていきました。
2. 梅雨期と真夏の管理(令和6年6月~7月)
笹の根枯れ処理

梅雨入り後は気温の上昇と湿度の高さで雑草が一気に伸びる時期です。除草を小まめに行いながらある程度間引いた笹の切り口に根まで枯らす除草剤をハケで塗り込み笹を広がりを抑える作業をさせていただきました。

ビフォー

アフター
倒木予防と高木の枝撤去

7月下旬には倒木の恐れがあるスギを伐採し、高所作業で枯れ枝を撤去。安全性と景観維持のための施工をさせていただき、その後は竹の庭や茶の庭を中心に手取り除草、落ち葉の清掃を進め、大型樹木の剪定にも取り組んでいます。

3. 秋の深まりと紅葉(令和6年8月~10月)

定期的な落ち葉掃除と除草剤散布
8月は台風や急な雨など天候が不安定な日も多く、作業時間が限られる中でもこまめに落ち葉清掃と手取り除草を重ね、伸び始めた笹や雑草を抑制。庭全体の維持管理に努めました。


9月から10月にかけては、カシの生垣やモッコク、ウバメガシなどの樹木を透かし剪定し、風通しと陽当たりを確保。特にスス病が出やすい樹種には消毒や活性剤の散布を行い、病害虫予防を図りました。紅葉し始めたモミジの美しさを最大限に引き立てるため、落葉清掃を丁寧に行ったのもこの時期の大切なポイントです。
4. 冬支度と年末年始の管理(令和6年11月~令和7年1月)
冬の伝統風景「こも巻き」と害虫駆除
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晩秋から初冬にかけては、剪定した松やモミジなどの高木を仕上げ、こも巻き(害虫の越冬を防ぐ伝統的な方法)を施しました。冬場は樹木の活発な生育は落ち着きますが、害虫を防ぎ、春に備えるための重要な時期です。
年末年始の落ち葉清掃と枯れ竹撤去
12月から1月にかけては落葉量が増えるシーズン。そこで海沿いの外周や南側外周、駐車場まわりを含め、普段停車している車がないタイミングを見計らって徹底した清掃を実施。


枯れ竹や朽ちた枝木の撤去も行い、お正月を迎える頃には庭園がすっきりと整った状態を保つことができました。また、寒さによる根の凍結や雑草の発生を抑えるため、敷き松葉や敷きわらで防寒・防草処理をして、春先への準備を万全に整えています。
7ヶ月間の管理を振り返って

尾上別荘様のお庭は、海沿いに面しているため、潮風や飛来ゴミの影響も少なくありません。さらに笹をはじめとした下草が多いことから、こまめな除草や樹木に絡みついたツタ取り、消毒・活性剤の散布が欠かせない現場でした。その一方で、和の風情を大切にしながら季節の移ろい(新緑・紅葉・冬枯れ)を感じさせる豊かな景観が魅力的であり、作業を行う中でも日々の変化を楽しませてくれる庭でもありました。


各所に砂利や苔、灯籠やつくばいなど和を象徴する要素が点在しているため、「見た目の美しさ」だけでなく「心地良い空気感」を保つことが重要です。

そのために、枝葉の透かし剪定で光と風を通す、笹やツタの密生を防ぐ、落ち葉清掃で足元から爽やかに保つといった管理を丁寧に続けてまいりました。除草剤も必要最小限にしつつ、発芽抑制剤や根枯れ剤を用途に応じて使い分けることで、綺麗な景観を長期間維持できるよう工夫を重ねております。
今後に向けた展望
1月に入り、寒さがピークを迎える頃には庭木は一旦落ち着きを見せます。今後は以下のポイントを中心に管理を継続していく予定です。
樹木の健康維持
スス病などが見受けられる樹木には、引き続きこまめな消毒や活性剤散布を行い、弱った部分の剪定や日当たり・風通しの確保に注力する。
苔と砂利の美観向上
茶の庭や灯籠前の砂利部分を整えながら、苔育成を試みている箇所を地力のある土壌に育てていく。くん炭などを散布しつつ、バランスを見ながら程良い湿度を維持する工夫を続ける。
安全対策の継続
台風シーズンや悪天候時に倒木や大きな枝折れのリスクがないか常にチェックし、高所作業が必要な場合はユニック車などを用いて速やかに対処する。
四季の表情を最大限に活かす剪定
新緑・紅葉・落葉など、季節の変化をダイナミックに見せられるよう、樹木ごとに適期の剪定を行う。特に秋の紅葉期に向けたライトアップや、冬の雪景色への対応など、景観演出と機能的ケアを両立させる。
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約7ヶ月にわたる尾上別荘様の庭園管理を通じて、海と緑に囲まれたこの場所が持つ可能性と美しさを再認識いたしました。
和の情緒を活かしながら、訪れる方々が心落ち着く空間づくりに貢献できるよう、今後もスタッフ一同、丁寧な作業を心がけてまいります。季節ごとの変化を楽しみつつ、定期管理の積み重ねがもたらす「日々の小さな変化の積み重ね」を大切に尾上別荘庭園を維持していきたいと思います。