「小さき人」菫(すみれ)。夏目漱石の詠んだ繊細な春の句スミレ
- 三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空
- 2 日前
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「菫(すみれ)ほどな小さき人に生まれたし」。明治を代表する文豪、夏目漱石の俳句です。

「吾輩は猫である」「坊ちゃん」などの文学作品を残した有名作家ですが、親友である正岡子規に感化され俳句をはじめ、愚陀仏(ぐだぶつ)という俳号も持っていました。生涯およそ2600もの句を残しているそうです。
菫(スミレ)は、春の季語。この句を現代語で解釈すると「道端にひっそりと咲く菫。目立たず、でもたくましく咲く、そんな花のような人に生まれたいものです」というような意味。この句が詠まれたのは漱石が30歳くらいの時で、イギリス留学を断念して帰国し精神的に衰弱していた、鬱々と過ごしていた頃だったようです。そんな心身共に弱っていた時期、繊細な漱石は「道端に咲くスミレのように静かにひっそりと生きたい」そう思っていたのかもしれません。
でも、小さくともコンクリートのスキマにも逞しく咲く強さをもつスミレ。
「小さき人」には「自分らしく精一杯生きる」という実直で前向きな意思も秘めているようにも感じます。
スミレと言えば紫色の可愛らしいタチツボスミレをイメージすることが多いですが、世界には400種以上、日本だけでも56種類が自生するというスミレ。ピンクやイエロー、ホワイトなどカラーも様々。庭で育てることもできますよ。
春の陽ざしに小さく咲く可憐なスミレの花を見かけたら、この俳句も思い出してみてくださいね。
菫(スミレ):スミレ科 / スミレ属 和名:スミレ(菫)、マンジュリカ 原産地は日本、中国、朝鮮半島
タチツボスミレは道端や空き地、堤防や草地など多数の葉や茎をのばし、4月~5月に花を咲かせます。