いなべ市の人工林へ山造り研究所さん主催の森の健康診断勉強会林分調査を学びに行ってきました。
植林されてから30年ほどで間伐は1度だけの育林されていないヒノキ林です。
樹冠は覆われ薄暗い印象で、ヒノキの下枝は枯れた枝が目立ち、下草はあまりない状態の人工林でした。
育林されていない不健康な人工林は、林内が暗く、下層植物が少なく地表がむき出しになっています。このような状態では、雨の水滴に叩かれて土が流れ出し、木の根がむき出しになり大雨で土砂崩れが起きる危険性もあります。
人が手を入れた人工林は、人の手で管理し林内に光を入れてあげることで地面を覆う下層植物が増え土が雨の衝撃から守られます。加えて、腐った植物を分解する生き物を始め、様々な生き物が集まるようになり生態系のバランスが整うことで良い循環が生まれます。
まずは具体的な現状把握と、どのような手入れをしていくかを決めるため「森の健康診断」というマニュアルに沿って調査をしていきました。
人口林の種類 檜 斜面の向き 南西 斜面傾斜角 25°
落葉層がどれだけ覆っているかの調査 落葉層、枝葉の形が残っている層、腐植層などを
調べ方位と合わせて植物の種類や量に影響しているかを調べる。
落葉層の状況 まだら 被覆率~50%
腐食層の状況 まだら状
草と低木がどれだけ植生しているか調べる。5段階で評価する。
草と低木の被覆率 0〜20%
草と低木の種類数 26種 草本17種 低木9種
1.3m以上の樹木 0
調査地の設定から人工林内の植栽木以外の植生調査、植栽木の混み具合調査と進めていきます。この調査値を元に、何年後この人工林の樹木をどのような姿に成長させたいか目標林型(もくひょうりんけい)というものを決め、その目標林型を目指して手入れの方法を考えていきます。
混み具合調査
古損木 あり 竹 なし
胸高直径 中心木(Da) 22.0 樹高 16.3m 目測 平均直径木(Db) 22.5 樹高16.3m
こちらの人工林では、50年後80年生になるヒノキ達が立派な木材になるよう成長させるという目標林型を決め、その目標林型になるよう「相対幹距離(そうたいかんきょり)」という隣同士の樹木の間の必要距離を割り出し、残す樹木をマーキングして混み合っている樹木を伐採する「間伐(かんばつ)」という手入れをして林床へ光を入れていきます。
中心木(Ha) 斜距離 18.0m 傾斜角 28° 倍率R 1.59 ab 5.2cm bd 5.2cm ad 9.4cm
AD 14.94 尺蔵樹高 16.24m
林分形状比 平均直径樹高(Hb)÷平均直径木直径(Db)×100 =72
ha当たりの本数(P) 合計本数(B)×100=1600本 ha
平均樹幹距離(A) (√10000÷ha当たり本数P) =2.5m
相対幹距(sr) (平均樹幹距離A÷中心木樹高Ha)×100=15
現状
調査面積 0.01ha 林齢31年生 ha当本数1600本 平均直径22.0cm 樹高平均 16.6m 上層 17.6m
ha集材積 481㎥ 地位指数22 密度 14 林分形状比 80
問題点
下層植物はほとんどなく薄暗い森 獣食害多い Sr14 高密度で 枝の枯れ上がりが激しく蝉も多い
間伐が必要で残存木マーク法による育てる木のマーキング目標林型はSr20を維持して林内に明るくなり下層植物層が茂り針広混交林を目指す。80年生時には当たり300本
80年生 Sr20 直径成長は年間0.5cm 樹高は成長曲線グラフで計算
調査面積 0.01ha 林齢31年生 ha当本数300本 平均直径42.7cm 樹高平均 28.0m 上層 28.0m
ha集材積 468㎥ 地位指数 22 密度 21 林分形状比 66
個人的には80年生までに到達するまでには長い期間がかかるため、持続可能な森づくりになるように、下層植物に合わせて樹木を植樹したい。
このように人の手を入れた人工林は人の手で管理していくことで、樹木を木材として育てることと、水源林や防災林としての機能も発揮させることが出来るのです。
今回は人工林内の樹木を立派な木材として成長させるという目標の手入れ方法を学ばせていただきました。この知識も踏まえて木材以外にも視野を広げ、手入れされていない人工林の活用方法を模索していけたらと思います。