メイソンジャーによる土壌の質感テストは、庭の土壌や森林土壌の構造を視覚的に理解するための方法です。50cm~60cmの深さで採取した土壌をメイソンジャーに入れ、水を加えてよくかき混ぜた後にしばらく放置すると、土壌がどのような層に分かれるかを観察することができます。この実験を通じて、土壌の粒子サイズ、有機物の含有量、土壌の密度など、土壌の性質を把握することができます。
左から山林土壌 庭a 土壌改良したあとの庭の土 庭b 粘土質が多いお庭の土
手順
土壌採取: 庭や森林から50cm~60cmの深さで土壌を採取します。
メイソンジャーに土壌を入れ、水を加えます。
容器を振って土と水を混合し、48~72時間放置します。
時間が経つと、砂、シルト、粘土が分離し、層を形成します。
層の詳細
有機物の層: 水面のすぐ下または水面に浮かぶ形で存在し、植物の残骸、微生物、腐植質などの軽い有機物が含まれます。色は黒や濃い茶色が特徴です。
粘土層: 非常に細かい粒子で構成され、最も遅く沈殿します。粘土は水を保持する能力が高いため、この層が厚い場合は水はけが悪いことを示します。
シルト層: 粘土より大きく、砂より細かいシルト粒子で構成され、粘土層の上に位置します。粒子のサイズが中程度で、粘土層と砂層の間に明確な区別がつかないことがあります。
砂層: 最も大きな粒子で構成され、水に入れるとすぐに沈むため、最初に底にたまります。砂は水はけが良いため、この層が厚い土壌は乾燥しやすい特性があります。
水: 最上層には清澄な水が残ります。これは、土壌粒子や有機物が完全に沈殿した後の状態です。
理想的な土壌の組成
ガーデニングにとって理想的な土壌は、約20%の粘土、40%のシルト、そして40%の砂で構成されるとされています。このバランスにより、土壌は十分な水分と空気を保持しながら、過剰な水はけを防ぐことができます。また、有機物を豊富に含む暗色の土壌は、軽色の土壌よりも栄養価が高いとされます。
土壌改良の方法
土壌が理想的な比率からかけ離れている場合、土壌改良を行うことで状況を改善できます。例えば、粘土質の土壌では、砂や有機物を混ぜ込むことで水はけを良くし、空気の流れを改善できます。逆に、砂質の土壌には有機物を加えることで、保水能力を高め、栄養素の保持を向上させることができます。
地域の地質
菰野町の地質
菰野町は三重県北部に位置し、特に鈴鹿山脈の南北に連なる地域です。北部地域では石灰岩、南部地域では花崗岩を主体に形成されています。近世後期から石灰肥料の製造が行われており、地域の農業発展に大きな役割を果たしていました。
三重県の土質
三重県の土質には以下のような特徴があります
花崗岩質岩: 主に三重県中部地域に分布し、風化するとマサ土になります。マサ土は浸食に弱く、表層崩壊が発生しやすい性質を持っています。
黒色片岩: 中央構造線の南側に帯状に分布し、高圧力が作用してできた岩石で、一定方向に薄くはがれやすい性質があります。
珪質岩: 三波川帯の南側に平行して分布し、海洋プレートが沈み込む際に堆積物が剥ぎ取られて大陸プレートに付加された地質です。
砂岩泥岩互層: 志摩半島から熊野地域に見られ、海洋堆積物の付加体の特徴を持ちます。
熊野酸性岩類: 熊野市北部・紀宝町に見られる岩石で、ほとんどが花崗斑岩です。風化が進んで残された中心部分がみられます。
これらの特徴から、三重県の地質は火成岩や変成岩、堆積岩の豊富な種類が含まれていることがわかります。これらは県内の多様な自然環境や地形の形成に寄与しています。
メイソンジャーを使った土壌テストは、土壌の状態を視覚的に示すことができので施主様に土壌を見てもらう時に使用したりしています。
土壌の構成を把握することで、水はけが悪い、栄養が不足しているなどの問題を早期に発見できます。これにより、植物の生育不良を未然に防ぎ、健康なガーデンを維持するための対策を迅速に講じることが可能です。