川の土手や畦道などの田園風景の中、はたまた都会の道路脇、ヨモギは様々な場所で見かけることができます。
よもぎ餅にして食べたり、菖蒲と一緒に薬湯にしたりと、その名前や独特の風味は多くの人が知っているのではないでしょうか。
ヨモギはキク科の雑草であり、もともとは乾燥した荒野がその故郷だったといわれています。そのため、乾いた都会の道端でも見ることができます。
そんなヨモギの大きな特徴のひとつが、白い葉の裏です。これは毛が密集しているため白く見えるもので、顕微鏡で見ると一本が途中で二つに分かれており、Tのような構造になっていることからT字毛と呼ばれています。このT字毛があることによって、よもぎ餅にする際に毛が絡み合って粘り気が出るのです。
ですがもちろん、ヨモギにとってこの毛はよもぎ餅にしてもらうために生やしているわけではありません。
これは葉の裏にある気孔という穴から水分が逃げていくのを防ぐという働きを持っています。つまり乾燥に対して強くあろうという性質を持っているのです。
またこの毛はロウを含んでおり、水を弾くようになっています。このためお灸のもぐさはこのヨモギの毛を集めたものを使っています。お灸が蝋燭のようにじっくりと時間をかけて燃えるのも、もぐさがロウを含んでいるおかげなのです。
よもぎ餅などのイメージが強いヨモギですが、実は様々な能力を持つ道端の実力者なのです。