三重県菰野町にある大亀山金剛寺様にて追加の植栽工事を実施させていただきました。
2024年1月植栽
昨年植栽したモミジ14本とシダレザクラ4本は全て健やかに根付き、順調な育っており安心しました。今回はは新たにモミジを3本追加し、境内の景観をさらに充実させました。
施工にあたっては、前回の成功事例を踏まえ、同様の土壌改良を実施。バーク、鹿沼土、炭、パーライト、肥料を組み合わせ、水はけと通気性の改善を図りました。特に粘土質が目立つ箇所では、パーライトを増量し、根系の健全な発達を促す環境を整えています。
植穴の掘削では、マキタのバッテリー式オーガと手掘りを併用し、既存の樹木根系を傷つけないよう細心の注意を払いました。また、植栽後は竹筒を用いた通気改善工事も実施。これにより、根周りの酸素供給を促進し、より安定した生育環境を確保しています。
近年、豪雨による土砂災害の増加や水資源の枯渇が深刻化しており、森林の持つ水源涵養機能や土砂災害防止機能への関心が高まっています。金剛寺様の斜面地における土砂流出・崩壊防止対策としても、モミジの植栽は重要な役割を果たしています。
根の種類と役割
樹木の根系は大きく以下に分類されます。
直根型幹の直下に太い主根が伸びる型。主根が深く伸びることで、土壌の深部を把持し斜面全体を安定化させる機能に寄与することが多い。多くの針葉樹(マツ類・スギ・ヒノキなど)で典型的。
心根型(心材根型)直根を中心として、周囲に複数の側根が広がる型。地上付近の表土〜中層土壌を保持しつつ、主根による深層固定も期待できる。
根張型(板根型・水平根型など)幹の直下に突出した板状の根や、地表近くに広く浅く張る根をもつ型。強度は比較的浅い層に集中するが、地表部の土壌崩壊や表層流出を抑止しやすい。多くの広葉樹が該当。
ひげ根・根茎型(地下茎を含む場合)タケ類やササ類など、地下茎や繊維状の細根が密集して表土を固定する型。特に表土の流出抑制効果が高い。
上述のように「どの深度に対してどのように根が張るか」が重要で、斜面防災の目的(表層崩壊の抑止か、深層崩壊のリスク低減か)に応じて適する樹種が変わってきます。
カエデ属の一般的な根系は「比較的浅い層に広く横へ張る」とされています。品種や環境条件によって根の張り方はかなり変動あり、樹齢が進むと太い主根や側根がある程度発達し、心根型に近い形態を示すケースもあります。
カエデ類の根系特徴
繊維状の細根が多い
広葉樹の中でも細根が密に広がる傾向があり、表層土を把持する力は小さくないと推定される。
深根化はやや弱め
一般的にスギやヒノキほど深く伸びず、主に表層〜中層を張る。急斜面の深層崩壊防止には、やや効果が及びにくい場合もある。
単一の樹種だけではなく混合して植栽していくことが大事になります。
防災機能に優れるとされる代表的な樹種例
針葉樹(スギ、ヒノキ、マツ 等)
特徴: 比較的深く伸びる直根や心根型。地表面から中〜深層まで根系が及ぶ。
効果: 深部への補強効果が高いとされ、過去の日本国内の治山・保安林施策でもスギやヒノキが多く利用されてきた経緯がある。
広葉樹(ヤナギ、シラカンバ、ケヤキ等)
特徴: 水際や渓岸での根の広がり、斜面での強固な張根が期待できる種も多い。
効果: 土壌保持効果や流水浸食防止、表土の崩落防止に寄与。
タケ・ササ類
特徴: 地下茎(根茎)が放射状に広がり、細根が密集しやすい。
効果: とくに表土の流出抑制効果が高く、急傾斜地での崩壊防止に貢献する例が報告されている。
2024年撮影
境内のビオトープでは、ホトケドジョウやモリアオガエルの生息が確認されており、生物多様性豊かな環境が保たれています。このような自然との調和を大切にしながら、今後も定期的な観察とメンテナンスを通じて、植栽樹木の健全な育成をサポートしてまいります。
植栽は、新しい命を土地に根付かせる大切な営みです。私たち剪定屋空は、これからも自然と人が共生する豊かな空間づくりに貢献してまいります。