日本人と竹の関係は、遠く縄文時代後期にまで遡ります。約3000年という長きにわたり、竹は私たちの文化や生活に深く根ざしてきました。古事記や日本書紀にも、竹の利用に関する記述が見られ、その重要性がうかがえます。しかし、戦後の急速な経済成長とライフスタイルの変化により、わずか半世紀ほどで竹林の管理放棄が進み、新たな環境問題を引き起こしています。
竹林が直面する課題や影響
放置竹林の増加 日本にある豊かな自然の中で、竹林は重要な位置を占めています。三重県には、孟宗竹、真竹、淡竹など、様々な種類の竹が生育しています。これらの竹は、それぞれ異なる特性と用途を持っており、適切な管理と活用が求められています。
しかし、近年の放置竹林の増加は、生態系のバランスを崩し、土砂災害のリスクを高めています。竹の根茎はとても浅く地表から30cm程度しか伸びないとされており、昔は水田の近くや里山近くの水資源が多いところによく植えられた形跡があり、筍の収穫などを通して管理されていて、うまく広葉樹や落葉樹と棲み分けしながら竹を管理されていた形跡がある竹林も多くみられます。
竹林の拡大は周辺の水環境にも影響を及ぼし、竹だけの植生になってしまった森林は土中の環境もバランスを崩し斜面などは表層崩壊を起こし土砂が流れだしてしまう可能性もあります。
竹は地下茎で急速に平地面を特に拡大していく傾向があり住宅の床下などに竹の根が侵入してきてしまったケースなども確認されています。
また、一度手入れをしなくなって藪化した竹林の管理には相当な労力がかかり、昔は地域のコミュニティーで支えられていた筍の子取りなどもあまりさかんに行われていないのが現状です。
竹林管理には様々な手法があり適切に管理していけば維持もそれほど大変ではありません。
竹林を皆伐してしまう事によって起きるリスクなども考慮し竹林管理においては、周辺の生態系への影響も考慮しています。在来種の保護や、野生動物の生息環境の維持にも注意を払いながら、バランスの取れた竹林管理が必要です。
毎年伐採法:毎年一定量の竹を伐採し、竹林の更新をしながら枯れダケの処理を行う
隔年伐採法:2年に1回の伐採を行い、竹林の密度を適切に保つ
3〜4年目伐採法:より長期的な視点で竹林を管理する
竹資源の多角的活用:新たな価値の創造
微粉末化した竹パウダーは、その特性から多岐にわたる用途があります。土壌改良材としての利用では、土の団粒化を促進し、吸水性と保水性を向上させます。また、生ごみ処理や消臭剤としても効果を発揮します。私たちは、この技術を活かし、地域の循環型社会の構築に貢献しています。
竹炭の製造と活用 竹炭は水質改善や消臭、調湿など多様な機能を持ちます。私たちは、竹炭の製造技術を磨き、環境にやさしい製品開発に取り組んでいます。例えば、水槽や池の水質改善、室内や冷蔵庫の消臭、土壌改良材としての利用など、幅広い分野で竹炭の活用を進めています。
建築材料としての活用 竹は強度が高く、軽量であるため、建築材料としても注目されています。
未来に向けて竹林管理 イノベーションと教育の推進
バイオマス発電や新しい建築材料など、竹の可能性は無限大です。私たちは常に最新の技術動向に注目し、竹資源の新たな活用法を探求しています。
次世代に竹林の価値を伝えることも重要です。地域の学校などと連携し、竹林をフィールドとした環境学習プログラムなども次世代に綺麗な竹林を残すために必要になってきます。子どもたちが竹林で遊びながら学ぶことで、自然への愛着と理解を深めてもらうことを剪定屋空では目指しています。
人と竹林の新たな共生を目指して
三重県の豊かな自然を守り、持続可能な社会を実現するためには、竹林との共生が不可欠です。
私たち剪定屋空は、長年培ってきた技術と経験を活かし、環境保全と経済活動の両立を目指しています。竹林は決して「厄介者」ではなく、適切に管理し活用することで、地域の貴重な資源となる可能性を秘めています。
これからも地域の皆様と手を携え、伝統的な知恵と最新の技術を融合させながら、人と自然が調和する未来の創造に向けて邁進してまいります。
三重県の美しい竹林を守り、次世代に引き継いでいくことが、私たちの使命です。皆様のご理解とご協力をいただきながら、この挑戦を続けていきたいと思います。