三重重県菰野町にある大和ハウス工業株式会社三重工場のビオトープで開催された生き物観察会にスタッフとして参加しました。今回の観察会では、子供たちがビオトープに入り、生物を採取・観察することで、在来種と外来種の違いや生物多様性について学ぶ体験型のプログラムが行われました。
今回の観察会で見れた生物達
淡水魚たち
まずは川や池の代表的な淡水魚です。ギンブナ、タモロコ、ウキゴリ、ヨシノボリ、そしてミナミメダカが観察されました。これらの魚たちは小型ですが、川底や水草の周りで生活し、藻類や小さな昆虫を餌とします。ミナミメダカは環境の指標生物としても知られ、水質が良好である場所に生息します。また、ヨシノボリやウキゴリは砂利や岩の隙間を巧みに利用し、静かに生活しています。
水中の昆虫と甲殻類
次に、川や池で見つかった水生昆虫や甲殻類についてです。ヒメゲンゴロウは水面に浮かびながら泳ぐ姿が特徴的で、昆虫や小魚を捕食します。エビの仲間であるスジエビとヌマエビも見られ、これらは水底の有機物や小さな藻類を摂食し、水質を清浄に保つ役割も果たしています。タニシやカワニナは水草や苔を食べ、水底の掃除屋とも呼ばれています。ギンヤンマのヤゴも確認され、水中で獲物を待ち伏せるその姿は、まさに水中のハンターといえます。
外来種とその影響
今回の観察では、アメリカザリガニも見つかりました。アメリカザリガニは外来種であり、日本の在来生態系に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。特に水草や他の小型生物を食害し、在来の生物の生息環境に悪影響を与えることがあります。
陸上の生き物たち
湿地やその周辺では、アキアカネ、アマガエル、ウシガエル、カナヘビ、コバネイナゴ、コオロギなどが確認されました。秋にはアキアカネが群れをなして飛び回り、その美しい赤い姿が目を引きます。アマガエルやウシガエルは湿地に生息し、昆虫を捕食しながら生態系のバランスを保っています。カナヘビは日向ぼっこをしている姿が見られ、昆虫を主に捕食します。
昆虫の観察
また、モンキチョウやクマゼミの抜け殻も見つかりました。モンキチョウは季節の移り変わりと共に観察される美しいチョウであり、草原の植物の蜜を吸います。クマゼミの抜け殻は、夏の終わりを感じさせる風物詩のような存在です。
生態系のつながりと保護
これらの生物は、それぞれ異なる環境に適応し、役割を果たしながら共存しています。魚やエビ、昆虫は水中と陸上を行き来しながら食物連鎖の一部となり、植物の受粉や水質の浄化、生態系の循環を支えています。しかし、外来種の侵入や環境変化はこれらの生態系に大きな影響を及ぼすため、地域の生物多様性を守るための観察と保全活動が必要です。