一見するとオジギソウ?とも思える互生した長楕円形の羽状葉、コニシキソウにも似ています。夏を過ぎ9月後半になってくると葉の裏側に花、そして小さな丸い実が一列に。この姿を見ると確信できる植物「コミカンソウ」です。庭先や道端にいわゆる雑草としてよく見かけますが、ネムノキのように夜は葉を閉じて眠る就眠運動があります。
葉の裏の丸い実は段々と赤くなり、そうなると確かにコミカン、小さなミカンが並んでいるよう。また別名にあるのが「キツネノチャブクロ」。チャブクロ=茶袋、茶葉を入れておくための布袋のことなのですが、これはどうやら普通の茶袋でなく高知や和歌山の辺りに伝わるという妖怪「茶袋」を指しているのだとか。
夜道を歩いていると目の前にプカプカと浮かぶ茶袋が…追いかけてくるという説、コレを見ると病気になってしまうという説、たかが茶袋とはいえやっぱり怪異、ホントに目の前に現れたら…怖いですよね。
コミカンソウの実が熟して赤茶色になると茶袋に見えるということなのか?キツネがコミカンソウを使って化かしているということなのか?由来はハッキリわかりませんでしたが、ネーミングルーツには意外に深い逸話があるのがおもしろい。
さらに、どこにでも生えていそうな葉ですが実は<一本の直立した主枝から横枝を多く出し、規則正しく楕円形の葉を互生させる>というスタイルは特殊で「コミカンソウ型分岐」と分類されているとのこと。
たかが雑草と侮るなかれ、希少分類される珍しい植物コミカンソウです。
コミカンソウ:コミカンソウ属 キツネノチャブクロ 草丈10~40cm 7~10月に開花する雌雄同株